コラム・対談金融庁_サステナビリティ情報に
関する開示の好事例集2021を公表
2022.01.27
12月21日、金融庁は「サステナビリティ情報」に関する開示の好事例を取りまとめた「記述情報の開示の好事例集2021」を公表しました。
「サステナビリティ情報」に関する開示は、近年、社会的な関心が高まっている項目の一つであり、コーポレートガバナンス・コードの改訂等で開示の充実に向けた取組みが進められています。
このような状況の中、現時点でどのような開示が投資判断にとって有用と考えられるかについて、投資家・アナリスト及び企業による勉強会を開催し、開示例を「記述情報の開示の好事例集2021」として取りまとめてます。
今回の事例集では、より好事例の裾野を広げていく観点から新たな企業を積極的に取り上げており、それぞれの開示例では、好事例として着目したポイントを解説しています。
Contents
全般として、投資家やアナリストからの主なコメント
・「社内での横断的な取組みをどのように行っているのか」に関心がある
・サステナビリティ情報が、投資家に「投資リターンの新たな源泉」として読み込まれているといった認識が必要
・サステナビリティガバナンス(取締役会によるサステナビリティ課題対応の監督や経営者の動機づけ)にも注目
・リスクと機会の認識、さらに、その重要性や頻度等のモニタリング体制が、戦略にも組み込まれていることが重要
人的資本に関するコメント
・従業員が企業価値創造プロセスの中で最も重要な役割を果たすため、投資家としても人的資本の活用は非常に重要
・ダイバーシティ、インクルージョンの観点、多様性をどう活かすかについて、人材のポートフォリオという考え方が非常に重要
・人的資本投資への取組みとして、会社目線だけではなく従業員の意識を反映するKPIが必要
気候変動関連に対して期待する主な開示のポイント
・TCFD提言※の4つの枠組みに沿った開示は有用
・気候変動リスクをどのようにモニタリングしているかを開示することは重要
・リスクと機会の両面からの開示は、投資判断に欠かせない
・気候変動が自社にとってどのようなリスクがあり、戦略上重要なのかといった事実認識を開示すべき
・リスクの増減がどのように財務に影響を与えるかを開示することが重要であり、定量的な財務影響の情報は投資判断にとっても非常に有用
・温室効果ガスの排出量等の過去の実績数値の開示は、企業価値の分析を行う上で有用な情報
※TCFD提言では、4つの柱(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標)について、推奨される開示内容を提示
経営・人的資本・多様性等対して期待する主な開示のポイント
・サステナビリティ事項が企業の長期的な経営戦略とどのように結びついているかをストーリー性をもって開示することは重要
• KPIについては、定量的な指標を時系列で開示することが重要
• KPIの実績に対する評価と課題、それに対してどう取り組むのかといった開示は有用
• 目標を修正した場合、その内容や理由を開示することは有用
• 独自指標を数値化する場合、定義を明確にして開示することは重要
• 女性活躍や多様性について、取り組む理由や目標数値の根拠に関する開示は有用
• 人的資本投資について、従業員の満足度やウェルビーイングに関する開示は有用
• 人権問題やサプライチェーンマネジメントについて、自社の取組みに関する開示は有用
J.フロント リテイリングや味の素、第一生命ホールディングスなど13社の事例
(2)「経営・人的資本・多様性等」の開示例
丸井、戸田建設、住友商事など21社の事例
参考文献:金融庁_「記述情報の開示の好事例集2021」の公表(サステナビリティ情報に関する開示)https://www.fsa.go.jp/news/r3/singi/20211221.html
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