9月1日の「防災の日」より、全国石油商業組合連合会(全石連)は、非常時のために燃料を多めに備えることを推奨する「満タン運動」をはじめました。
この「満タン運動」は、SNSやテレビCM、ガソリンスタンドの店頭などで、さまざまな広報活動が行われています。
全石連の調査によると、65%以上の人が、災害時の燃料の入手に困った経験があると回答しています。
災害が発生すると、渋滞や除雪作業の遅れ、土砂崩れの影響で、ガソリンスタンドに行列ができたりします。その影響で、ガソリンスタンドに辿り着けず、ガソリンや灯油などの燃料を新たに確保することが困難になります。そしてこうした交通網の遮断や、在庫不足が原因で共有不足が発生する事態に陥ります。
「満タン運動」とは「満タン&灯油プラス1缶運動」の略で、こうした事態に対応できるように災害発生に備えて、車の燃料メーターが半分程度になったら満タンを心がける「満タン運動」と、同じく非常時のために暖房用の灯油を1缶多めに備える「灯油プラス1缶運動」のことです。
「満タン運動」には次のようなメリットがあります。
・パニックバイを回避できる
・車を避難場所として確保できる
・共有遮断時の備えになる
参照元:「満タン&灯油プラス1缶運動」周知専用サイト
全石連の「満タン運動」は、リスクコミュニケーションの観点からとても良い事例といえます。
重要なのは、平時から準備しておくことで、そのためにこのようなキャンペーン施策により、情報開示をすることは、リスクコミュニケーションにおいて重要なステップです。
コミュニケーション担当者の役割
一方、マクロな視点から組織のリスクコミュニケーションを考えた場合、ビジネスにはさまざまな局面に備えて「信頼の蓄え」を満タンにする必要があります。
どんなビジネスでも、そのライフサイクルの中で危機に直面します。顧客や従業員、規制当局から不当に訴えられたり、不況やサプライチェーンの課題、業界全体の信用問題などのマクロ要因の影響を受けたり、組織はこれらの局面に2つや3つ直面する可能性があります。
よって、コミュニケーション担当者の仕事は、組織がいざとなった時に、ステークホルダーの信頼を必要とする局面になる前に、「信頼の蓄え」を満タンに満たすことです。
「信頼の備え」を満タンにするためにはどうしたらいいのか?
水がなければ貯水池を満たすことはできません。コミュニケーション戦略の本質にある真の価値がなければ、信頼を築くことはできません。最高の信頼貯水池は、以下のもので形成されます。
・優れた製品やサービス
市場に評価されるプロダクトは信頼され、顧客が戻ってきます。
・健全な企業文化
優れた従業員は、「信頼の備え」を満たすために非常に重要だからです。
・メッセージを広めること
「信頼の備え」のための施策の存在を誰も知らなければ、意味がありません。
ステークホルダーから信頼を得ている収益性の高い企業が、「信頼の備え」の干ばつに見舞われることは稀です。ユナイテッド航空は、2017年に当時のCEOが乗客が殴られたことを非難しても生き延びましたし、Netflixは政治、人種、メンタルヘルス問題で非難されながらも、これまで以上の視聴率を獲得しています。
組織は「信頼の備え」が空っぽになる前に、失った信頼を取り戻す計画を準備しておく必要があります。沈黙を守るか、反撃に転じるか、あるいは将来の事故を防止するための準備を実施するかなど、さまざまな要因によって、シナリオを変える必要があります。
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