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コミュニケーション戦略内部監査のリスク回避戦略:コミュニケーションで達成する効果的な監査プロセス

2023.04.14

近年、企業の内部監査部門への期待が高まっています。
デロイト トーマツが行った最新調査「企業の不正リスク調査白書 Japan Fraud Survey 2022-2024」によれば、内部統制の改善の助言に加え、不正・不祥事の早期発見に対する期待も大きく、内部監査が不正・不祥事発生の可能性を早期に検知し、リスクを評価し、必要な対応を促すことが求められています。
しかし、実際の内部監査の現場では、さまざまな課題が存在しています。本記事では、これらの課題に焦点を当て、コミュニケーションを活用した効果的なリスク回避戦略について解説します。

最近の不正・不祥事事例における内部監査上の課題

デロイト トーマツの調査報告書を分析すると、内部監査が不正・不祥事の防止や早期発見に失敗した要因として、以下の4つの課題が浮かび上がります。

1.リスク評価の失敗/手続範囲不十分
2.リソース不足
3.形式化・形骸化
4.機能不全
これらの課題に対処するためには、内部監査部門や関係する部署がコミュニケーションを重視したアプローチを取ることが重要です。

リスク評価の失敗/手続範囲不十分への対策

リスク評価を正確に行うためには、内部監査担当者が組織全体と密接に連携し、リスクに関する情報を共有することが不可欠です。具体的には、以下のようなコミュニケーションが効果的です。

・定期的なミーティングを設定し、組織全体のリスク状況を共有する。
・監査対象部門とのオープンなコミュニケーションを確保し、リスクに対する意識や対策を理解する。
・経営陣とのコミュニケーションを通じて、リスク管理の重要性や監査対象範囲の適切性を確認する。

リソース不足への対策

リソース不足を解消するためには、担当部門が組織内外のリソースを効果的に活用する必要があります。これには、以下のようなコミュニケーションが役立ちます。

・経営陣に対して、内部監査部門の人員や予算の必要性を適切に伝える。
・他部門や外部の専門家と連携し、スキルや知識を共有する。
・内部監査部門の業務効率化を図るための情報交換やベストプラクティスの共有を行う。

形式化・形骸化への対策

形式化・形骸化を回避するためには、関係する担当者が組織内で本質的な監査活動を推進するためのコミュニケーションを行うことが重要です。

・監査対象部門との対話を通じて、業務プロセスの理解を深め、リスクに対する適切な対策を議論する。
・経営陣や関係者に対して、内部監査の目的や重要性を明確に伝え、組織全体の理解を促す。
・定期的なレビューを実施し、内部監査活動の質を維持・向上させるためのフィードバックを得る。

機能不全への対策

内部監査が適切に機能するためには、内部監査担当者の組織内での役割や責任を明確化し、適切なコミュニケーションを行うことが求められます。

・内部監査部門の役割や責任を組織全体に明確に伝え、理解を深める。
・経営陣との連携を強化し、内部監査の独立性と機能の確保に努める。
・監査対象部門との協力関係を築き、情報共有や問題解決において効果的なコミュニケーションを実現する

まとめ

内部監査のリスク回避戦略において、コミュニケーションは極めて重要な要素です。
リスク評価の失敗や手続範囲不十分、リソース不足、形式化・形骸化、機能不全といった内部監査上の課題に対処するために、組織内外での情報共有や協力を促進し、内部監査部門が適切に機能することが求められます。

コミュニケーションを活用した効果的なリスク回避戦略を実践することで、企業は不正・不祥事の早期発見や防止に成功し、内部統制の改善を実現することができます。内部監査担当者は、組織全体との連携を強化し、リスクに対する意識や対策を理解し、適切な監査プロセスを推進することが求められます。そのためには、コミュニケーション戦略を見直し、情報共有や問題解決において効果的なコミュニケーションを実現することが不可欠です。

(最後に、本稿における意見や見解について、以下のことをお断り申し上げます。本稿で述べられている意見は、筆者である代表理事大杉春子の個人的見解であり、所属組織の公式見解を反映したものではありません。)

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