コミュニケーション戦略ドローン業界におけるリスクコミュニケーションと、日本発新規格ISO 23629-5 UTM
2023.05.18
国際標準化機構(ISO)は、2023年4月26日にドローン運航管理システム(UTM)の機能構造に関する新しい国際規格ISO 23629-5 UTMを発表しました。
これは、日本電気株式会社、株式会社NTTデータ、株式会社日立製作所の3社が共同で進めてきた規格化プロジェクトで、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の下、日本発の国際規格としてISOに提案され、発行に至ったものです。
参照元:
・国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「ドローンの社会実装に向けてドローン運航管理システムの機能構造を国際規格化」
・ISO 23629-5:2023 UAS traffic management (UTM) — Part 5: UTM functional structure
Contents
UTMとは何か?
UTM(UAS1 Traffic Management)とは、特定の空域内で飛行する全てのドローンの情報と、気象や建造物などの情報を共有し、効率的な運航や衝突事故を防ぐための交通管理システムのことを指します。
具体的には、ドローンの飛行経路情報、現在位置、機体とパイロットの登録情報、空域情報、地形情報、気象情報などを共有し、飛行計画が重複しないように調整します。
目視で確認できない環境下でのドローン飛行を実現するためには、操縦者の目視に代わってドローン周囲の状況を認識し、衝突などのリスクを回避する仕組みが必要となりますが、これをドローン機上のセンサのみで実現するのは現状では困難。そこで、UTM を通じて空域の情報、運航ルール、他のドローンや有人航空機に関する情報などを共有し、衝突などのリスクを未然に回避することが期待されています。
1 Unmanned Aircraft System の略称。UAS はドローンを制御するシステムの総称。ドローン自体を指すこともある
ISO 23629-5 UTMの内容と意義
新規格ISO 23629-5 UTMは、必要な機能とその構造、各機能間の関連性、関連用語の定義など、UTMが担うべき役割や必要な情報についての国際的な統一基準を提供しています。これにより、各国が異なる基準や言葉でUTMを運用することなく一貫した基準での運用が期待できます。
リスクコミュニケーションの重要性と新規格の役割
ここで、リスクコミュニケーションの重要性と新規格の役割について考えてみましょう。リスクコミュニケーションとは、「有事の際に、内外のステイクホルダーと適切なコミュニケーションを図ること。
これを迅速に進めるため、平時より準備を進めること。」です。
ドローン業界においても、適切にリスクを理解し、それに対する対策を共有し、理解し合うためのコミュニケーションを実現するためには、飛行経路の衝突や無人機の落下などのリスクを共有し、それらのリスクを最小化するための適切な対策を講じることが求められます。
新規格の導入に伴うリスクコミュニケーションの展開
新規格の導入により、ドローンの運用におけるリスクの共有と対策がより明確になることが期待されます。一方で、新規格への移行は、それ自体が新たなリスクをもたらす可能性があります。これに対応するためには、広報担当者がリスクコミュニケーションの展開に取り組むことが重要と言えます。
まとめ:広報担当者が果たすべき役割
新規格の導入は、ドローン業界における安全性と効率性の向上をもたらす一方で、新たなリスクの発生も予想されます。広報担当者としては、この新規格とそれに伴うリスクをしっかりと理解し、その情報を適切に伝えることでリスクを最小化する役割を果たすべきです。
また、新規格の導入がもたらす利点や効果をステークホルダーに明確に伝えることで、企業の透明性を高める、信頼を得ることに繋がります。
この記事が、広報担当者の皆様の活動に役立つことを願っています。
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