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コミュニケーション戦略梅雨の水害対策:文部科学省ガイドラインの活用と広報戦略

2023.06.12

気象庁は6月11日、北海道を除く全国の地域が梅雨入りしたとみられると発表しました。これにより水害に対する警戒がますます必要となります。
日本は気候変動により、近年の豪雨の影響を強く受けています。そんな中、文部科学省は5月30日、学校の水害対策を進めるための新たな手引きを公開しました。
教育機関である学校施設は、子供たちの命を守るだけでなく、教育活動を継続するという重要な役割を果たしています。
本記事では、この手引きの詳細とその意義、そして教育機関のコミュニケーション人材が、どのような対策を取るべきかを考察していきます。

参照元:文部科学省_「『水害リスクを踏まえた学校施設の水害対策の推進のための手引』の公表について」


学校施設の水害対策の現状と問題点

近年、日本全国で繰り返される豪雨により、多くの学校施設が水害の被害を受けています。2018年の西日本豪雨では、667校が物的被害を受けたほか、水害によって休校となり、それが長期化したケースも見受けられました。このような状況は、学校教育の安定的な提供を脅かし、子供たちの学びの場を奪っています。

さらに、文部科学省の調査によると、2020年10月時点で公立学校が浸水想定区域に立地し、地域防災計画に要配慮者利用施設として位置付けられているのは全体の約20%(7,476校)です。しかし、このうち学校施設内への浸水対策や受変電設備の浸水対策など、水害に対するハード面の対策を実施している学校は約15%にとどまっています。このことから、学校施設の水害対策が大幅に遅れている現状が明らかとなりました。

手引きの内容概要

このような背景を受け、文部科学省は新たな水害対策手引きを公開しました。手引きの目的は、教育委員会など学校設置者を中心に、治水担当部局や河川事務所などと連携し、具体的な水害対策に取り組むことです。そのために、具体的な進め方の手順や水害対策のポイント、対策事例などが整理されています。
出典:「水害リスクを踏まえた学校施設の水害対策の推進のための手引」(概要) (PDF:1.3MB) PDF より

手引きでは、最大の浸水想定だけでなく、発生頻度の高い浸水想定にも対策を立てることが求められています。具体的には、年超過確率1/10の降雨(1年間にその規模を超える降雨が1回以上発生する確率が10%)など、発生頻度の高い事例についても考慮することが重要とされています。これは、最大規模の浸水想定にのみ目を向けると、日常的に起こり得る水害に対する備えがおろそかになりがちであるためです。

水害対策の推進と広報活動の重要性

この新しいガイドラインは、教育機関の広報、コミュニケーション担当者にとっても非常に重要な資料です。その活用方法は、リスクコミュニケーションから有事のクライシスコミュニケーションまで、さまざまなシーンで広がります。

リスクコミュニケーションの具体的な方法:
リスクコミュニケーションでは、教育機関が地域と密接に連携し、予防策を広く知らせる役割があります。具体的には、水害対策のポイント、対策事例を活用し、教職員、生徒、保護者、地域の人々といったあらゆるステークホルダーに適切に情報を伝えることが重要です。さらに、水害リスクの高い時期には、定期的にこれらの情報を更新し、リマインドすることが求められます。

有事のクライシスコミュニケーションの具体的な方法:
有事のクライシスコミュニケーションでは、迅速かつ適切な情報伝達が求められます。教育機関の広報/コミュニケーション担当者は、具体的な被害状況や安全確認情報、学校の対応状況などをタイムリーに発信する役割を果たします。また、教育機関の広報活動は、単なる情報発信だけでなく、生徒や保護者からの質問や懸念に対してきちんと応答することも重要です。これにより、混乱を最小限に抑え、関係者に安心感を提供します。

まとめ

日本の学校施設は、地震や津波対策、避難所としての機能強化を進めてきましたが、同じくらい重要な水害対策についてはまだ取り組みが進んでいません。文部科学省の新たな手引きは、教育機関にとって貴重なガイドラインとなります。学校施設の安全を確保し、教育活動の早期再開を目指すためにも、この手引きに従い、具体的な対策を立案し、実行に移すことが求められています。教育機関の広報、コミュニケーション担当者は、この手引きを活用し、水害リスクとその対策を伝えることで、安全な環境を守る役割を果たします。教育機関の今後の取り組みが、子供たちの学びの場と安全を守るための重要な一歩となることを願います。

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