1月3日、米国の調査会社ユーラシア・グループは、2023年の「世界の10大リスク」を発表しました。
ユーラシア・グループは、著名な国際政治学者のイアン・ブレマー氏が社長を務め、1998年以来、年初に当該年の世界政治や経済に深刻な影響を及ぼす地政学リスクを予測しています。今回の発表では、1位に「ならず者国家ロシア」、2位に「『絶対的権力者』習近平」を挙げており、バイデン米政権が「国家安全保障戦略」で戦略的競争相手として名指ししたロシアと中国に関連する結果となっています。
また、「10大リスク」が日本に与える影響に関する分析においても、「『絶対的権力者』習近平」は重大な影響を持つとしています。その他、ロシア、インフレ、エネルギーなどのリスクも、国際貿易や米国との同盟関係に大きく依存する島国の日本にとっては見逃せないとしています。
以下に日本にとって重要なポイントをレポートから抽出しました。
・2023 年の日本にとって、巨大な存在となった習近平は巨大なリスク
・岸田文雄首相は、日本は中国と「建設的かつ安定的」な関係構築を進めると頻繁に発言している。しかし、習近平の下での恣意的な決定、政策の不安定さ、不確実性の増大は、2023 年に逆のことが起こると予想される。日本の軍事予算は 2027 年までに米国と中国に次ぐ世界第 3 位(現在は第 9 位)になる可能性がある。
・米中間の緊張が高まっても、短期的には武力衝突に至ることはないだろう。「Top Risks2023」では、「台湾危機」を今年の「リスクもどき」の一つに挙げている。日本企業は中国による台湾侵攻が迫っているのではないかと危惧する。だが彼らがなすべきは、冷静に問題を考察し、中国による台湾へのサイバー攻撃、封鎖、船舶への嫌がらせなど、起こる可能性が高い事態を想定した計画を立てることだ。
・今年のリスク No.1「ならず者国家ロシア」は、ロシアの暴走で日本が影響を受けるリスクを高めている。ロシアは 2022 年に日本のサハリンへの重要なエネルギー投資を維持させたが、2023年にはそれが脅かされる可能性がある。
・「インフレショック」も日本を襲っている。日本国民はエネルギーや食料の輸入価格の高騰に苦しんでおり、2023 年もそれは変わらないだろう。