コラム・対談リモート時代の社内コミュニケーション活性化のための会に欠かせない3つのポイントとは?
2021.04.06
〜リモートワーク時代のERC(エンタープライズリスクコミュニケーション)〜
とある地方都市のIT企業で勤務する真紀子さん(仮名)。新型コロナをきっかけに、昨年本社を縮小し、真紀子さんの会社の社員のほとんどがリモートワークとなりました。
通勤にかかる時間や打ち合わせのための移動がなくなり、移動のストレスがなくなった一方で新たにストレスに感じることがあるというのです。それは「オンライン会議」。顧客企業とのオンライン会議は比較的スムーズに行われるのですが、中でも手強いのは「社内オンライン会議」なのだそうです。今回伺ったちょっとしたお困りごとを皆さんにも共有しながらどのように解決したら良いかを考えていきたいと思います。
お困りごとは大きく分けて3つあると言います。
1つ目は、ビデオ会議の背景OFF強要問題
2つ目は、1on1叱責オンライン会議
3つ目は、コミュニケーション活性化と題したオンライン飲み会の回数の増加
私も聞いて驚きましたが、一つ一つ見ていきたいと思います。
まず1つ目の問題。特にそんなに関係性がよろしくない仲間に背景OFFを強要されること、これは確かに苦痛です。ビデオ会議では、もちろん顔が見えた方がいいですが、自宅からアクセスする場合多くの方は背景を何かしら設定して臨まれることが多いと思います。気心が知れて関係性の良い仲間であれば、背景をOFFにしても何ら問題ないこともあるとは思いますが、多くの場合はプライベート空間をなかなか晒したくないものであると思います。特に真紀子さんは一人暮らし。結局その日は「部屋が荒れている」ことを理由になんとかOFFのまま会議を行ったようですが、次回からONにするようにと言われたのだそうです。こういう場合その上司と直接対峙しても分かってもらえないこともあるでしょうし、なるべく穏便に済ませたいという意図からなかなか直接言うのは難しい問題です。
今回のようなケースでは、真紀子さんにおすすめする解決策として以下を提案します。
- カメラに映り込む部分に気を配って背景OFFでしばらく会議を試してみる。しばらく慣れたのち、背景をOFFにするようにすれば突っ込まれなくなる可能性もあります。
- 会社に行く時と同じように身なりを整えて会議に挑む。(これは、背景を写すと服装全体も突っ込まれる可能性も高いので一応お伝えしました。)
上記は、自分でできる範囲で公私混同を未然に防ぐコミュニケーションです。しかしながら、この上司がしていることは「リモートハラスメント」の中でもパワハラに該当するリスクが高いです。リモート会議で背景をONだろうがOFFだろうが顔が見えていれば良いのではないでしょうか?と言うのが本音というもの。本来の目的は、より働きやすいテレワークの実現と言う観点を入れた方が賢明です。業務遂行方法については確かに会社に裁量がありますが、違法か適法かの議論以前にお互いに快適にテレワークできる環境整備が必須でしょう。
それでも、背景について突っ込まれるようであれば、「会議実施の背景の有無がどのように業務遂行に対して影響するかを話し合いませんか?」と提案するのも手かもしれません。ちょっとしたミスコミュニケーションでハラスメントは問題に発展しやすいです。同僚も巻き込みオープンな環境で議論してリモートワークのあり方を全社で考えることが健全なコーポレートリスクコミュニケーションの第一歩と考えます。
2つ目の「1on1叱責オンライン会議」。これについては、上司に対して本人から直接言うのはなかなか難しいことは確かです。上司側からすると、指導のためとの言い分もあるかもしれませんが、叱責と感じてしまったら「ハラスメント」に該当します。あまりに酷い怒号を浴びせるような場合や、人格否定などに発展した場合は、録画や録音で第三者に見せて解決することも可能です。ただし、自分にも明らかに非がある場合や気付かない点を指摘された場合では、向き合って話し会うことが必要であると思います。いずれにせよ、同僚や他部署などに相談して解決していくことも重要です。
(図1)
(図2)
出典:厚労省 雇用環境・均等局(平成30年10月17日)
https://www.mhlw.go.jp/content/11909500/000366276.pdf
あまりにも酷い場合は、社内通報システムや外部への通報の仕組みなどを利用することもできますが、互いのコミュニケーションの取り方を知って歩み寄ることも大事です。上司と部下の年齢が違う場合は、お互いに育ってきた時代や背景が違うことを念頭において、社内でオープンに話し合えるカルチャーにしていく必要がありそうです。
さて最後に、3つ目のコミュニケーション活性化と題したオンライン飲み会の回数の増加について。
これも度合いの問題と思いますが、コミュニケーションの活性化が目的であれば、飲み会である必要はありません。もし飲み会が好きならそうすれば良いですが、オンライン麻雀大会でも良いですし、オンラインゲーム大会でも良いわけです。オンラインで気楽に●●のテーマについて話そうという場でもいいのかもしれません。
私がオンラインの活性化のための会の実施についてご提案したいのは、以下3点です。
- 時間を決めてやること
- モデレーターを据えること
- 共有できるテーマを用意すること
例えば、「今日のこの1時間に私のおすすめ英会話習得方法」などと時間や簡単なテーマを決めて必ず誰かをモデレーターにして、オンライン飲み会を運営することでダラダラとした時間を過ごすことなく進行できます。
「コミュニケーションの活性化」の本質は、語り合って互いの理解を深めスムーズで効率的且つ生産性の高い仕事のアウトプットにつなげていくことにあると考えます。会社によっては予算をつけて飲み会に同じ食べ物を共有しながら話す会社もあるようですね。工夫次第で楽しく転ぶ要素がたくさんあります。
エンタープライズリスクコミュニケーションの第一歩はカルチャーの醸成から
今企業では、リモート時代に際して全員が様々な課題と対峙しています。エンタープライズリスクコミュニケーション(ERC) を意識して、様々なリスクに敏感になることが必須です。まずは全員で仕組みを作っていくんだという意識を持つようなリーダーが社内に生まれてモチベートできる組織作りがますます注目を集めていくでしょう。
互いが安心して情報発信できるカルチャー作りがうまく機能すれば、今注目されている「心理的安全性」が確保され、リスクコミュニケーションに強い組織になっていくことができそうです。
幸いなことに、今回の真紀子さんのケースでは、人事部の中に頼れるリーダーが存在するということで思い切って人事部に相談して組織改革に乗り出してみようと第一歩を踏み出しました。リモートワーク時代においては、組織の中にある様々な課題が健在しにくい部分があります。社員それぞれが「これはおかしいのではないかな?」ということを気軽に発信してアクションを起こしやすいカルチャーの整備が必須です。まだまだ始まったばかりで完成型は存在しません。協会としても皆様と新たにリスクコミュニケーションの重要性を問いながら完成型に近づけていきたいと考えています。
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