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コミュニケーション戦略企業のコミュニケーション戦略における責任あるサプライチェーンの人権尊重とリスクマネジメント

2023.04.19

近年、企業のサプライチェーンにおける人権尊重や環境保護が注目されるようになりました。これは、国際社会が持続可能性を重視する動きが強まっていることや、企業の社会的責任(CSR)が求められるようになったことが背景にあります。企業は、これらの要請に応えるためにコミュニケーション戦略を見直し、ステークホルダーとの関係を強化していく必要があります。本記事では、企業のコミュニケーション戦略における責任あるサプライチェーンの人権尊重とリスクマネジメントについて考察します。

経済産業省が発表した「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のための実務参照資料」の概要

2023年4月4日、経済産業省は「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のための実務参照資料」を公表しました。この資料は、2022年9月に政府が策定した「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」に沿って、「人権方針の策定」と「負の影響の特定・評価」の項目に特化して解説しています。実務担当者が具体的な行動に移せるよう、検討すべきポイントや実施フローの例を示しています。

参照元:経済産業省「『責任あるサプライチェーン等における人権尊重のための実務参照資料』を公表しました」

人権方針の策定

企業はまず経営陣が人権尊重を明確に表明し、組織全体に対して人権リスクへの取り組みを求めることが重要です。これにより、組織の方向性が明確になり、従業員の意識が向上します。人権方針は、企業のビジョンやミッションと連携させることで、より効果的なものになります。

次に、サプライチェーンにおける人権リスクの特定・評価が求められます。自社の業務や取引先との関係を詳細に検討し、潜在的な人権侵害リスクを明らかにすることが求められます。
リスクの特定・評価には、国際的な基準やガイドラインを参照することが有効です。このステップで実施する内容については、先に紹介した「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のための実務参照資料」(経済産業省)において、国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)が公開している「金融セクターのための人権ガイダンスツール」(2017年改訂版)にある「セクター別人権課題」(Human Rights Issues by Sector)などを仮訳したものを参照できます。この資料では、事業分野別、産品別、地域別の人権課題が例示されています。また、エクセル形式の文書で人権への負の影響(人権侵害リスク)の特定・評価をする際の「作業シート」として実務者が書き込める体裁になっています。

企業の広報戦略における人権尊重とリスクマネジメントの役割

企業は、サプライチェーンにおける人権リスクへの取り組みを透明性のある形で報告し、外部からの評価やフィードバックを受け入れることが求められています。よって広報は、人権尊重とリスクマネジメントの取り組みをステークホルダーに伝え、信頼関係を築くための重要な手段です。広報活動を通じて、企業は次のような取り組みを行うことが期待されます。

サプライチェーンにおける人権リスクの開示

企業は、自社のサプライチェーンにおける人権リスクに関する情報を定期的に開示することが求められます。これには、リスク評価の結果や具体的な改善策、進捗状況などが含まれます。開示情報は、企業のウェブサイトやサステナビリティレポートなどを通じて広く共有されることが望ましいです。

ステークホルダーとの対話の促進

企業は、ステークホルダーとの対話を通じて、人権リスクに対する取り組みや成果を共有し、フィードバックを受け取ることが重要です。対話の場には、従業員や取引先、地域社会、投資家、NGOなどが含まれます。対話を通じて、企業は自社の取り組みを評価し、改善策を検討することができます。

企業がサプライチェーンの人権リスクマネジメントに取り組む際、国際基準やガイドラインを参照することが有効です。

まとめ:企業のコミュニケーション戦略と人権尊重の重要性

企業は、サプライチェーンにおける人権尊重とリスクマネジメントをコミュニケーション戦略の一環として取り組むことが求められます。これにより、ステークホルダーとの信頼関係を築き、企業価値を向上させることができます。

経済産業省が公表した「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のための実務参照資料」は、企業が人権リスクを特定・評価し、対策を講じるための実践的な指針を提供しています。この資料を活用しながら、国際基準やガイドラインに沿った取り組みを進め、サプライチェーンにおける人権尊重を実現していくことが期待されます。

また、企業の広報戦略は、人権尊重とリスクマネジメントの取り組みをステークホルダーに伝え、信頼関係を築くための重要な手段です。企業は、サプライチェーンにおける人権リスクへの取り組みを透明性のある形で報告し、ステークホルダーとの対話を通じて、評価やフィードバックを受け入れることが求められます。

これからの企業は、サプライチェーンにおける人権尊重とリスクマネジメントを真剣に捉え、国際基準に則った取り組みを推進することが不可欠です。これにより、企業は社会的責任を果たすだけでなく、自らの競争力を高めることができるでしょう。また、持続可能性を重視するステークホルダーからの評価も高まり、企業価値を向上させることが期待されます。

(最後に、本稿における意見や見解について、以下のことをお断り申し上げます。本稿で述べられている意見は、筆者である代表理事大杉春子の個人的見解であり、所属組織の公式見解を反映したものではありません。)

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