コミュニケーション戦略災害・健康危機管理の新しい指南:WHOガイダンス日本語版とそのコミュニケーション戦略への応用
2023.10.03
9月1日防災の日に、WHO(世界保健機関)健康開発総合研究センター(WHO神戸センター)は、手引書「災害・健康危機管理の研究手法に関するWHOガイダンス」の日本語版を公開しました。
参照元:災害対策と健康危機管理の研究手法に関するWHO初のガイダンスの日本語版完成
災害や健康危機が起こった際、迅速で正確な情報の伝達が極めて重要です。この課題を解決すべくWHOが公開した「災害・健康危機管理の研究手法に関するガイダンス」の日本語版は、日本の災害対策と健康危機管理の先端として期待されています。
WHOガイダンス日本語版の概要
災害や健康危機時の研究手法は、これまで長い間確立されていませんでした。現場での救援ニーズが優先され、未来の対策に向けた情報収集や研究の方法論の確立が後回しになることが多かったのです。しかし、綿密な事後調査や予防の研究が無ければ、同じ過ちを繰り返してしまう危険があります。
このような背景から、2021年にWHO神戸センターが世界の専門家と協力し、「災害・健康危機管理の研究手法に関するWHOガイダンス」を発行しました。このガイダンスは、災害や健康危機時にどのように研究を行うべきかの方法論を示す初の試みです。
特筆すべきは、このガイダンスに日本の災害対策の歴史と経験が取り上げられている点です。阪神淡路大震災や東日本大震災の経験から生まれた医療、看護、公衆衛生の取り組みが、世界の対策の参考として紹介されています。
日本は、多くの自然災害を経験してきた国として、その対応と研究に関する豊富な経験と知見を持っています。そのため、このガイダンスにおいて日本の経験が世界に向けて共有されることは、他国の災害対策の参考となり、国際的な協力と連携の強化に繋がるでしょう。
また、2022年には新型コロナウイルス感染症の流行を反映した章が追加され、国内での普及を促進するイニシアティブが発足。このイニシアティブにより、日本語版のガイダンスが制作され、9月1日の「防災の日」に公開されました。この取り組みは、日本の災害対策と健康危機管理の研究を牽引する施設と専門家の連携のもと、日本の研究教育機関や現場での普及が進められています。
企業や組織での具体的な活用法
WHOガイダンス日本語版は、企業や組織におけるリスクコミュニケーションの実務にも非常に役立ちます。具体的な活用法としては以下のようなものが考えられます。
- 社内外のステークホルダーとのコミュニケーション: 災害や健康危機発生時のコミュニケーションの確立。ガイダンスを基にした研修やシミュレーションの実施。
- 情報の透明性と迅速性: 公式な情報源からの情報提供のスピードアップと、その情報の信頼性の確保。
- 地域との連携: 地域住民や行政との連携を強化し、情報共有のメカニズムを構築。
WHOガイダンス日本語版の提供は、日本の災害対策と健康危機管理の新たな一歩を示すものと言えます。このガイダンスを活用し、正確で迅速な情報伝達を実現することで、私たちの社会はより安全で、危機に強いものとなるでしょう。今後は、このガイダンスを基にした研究や実務のさらなる普及を期待しつつ、日本の災害対策と健康危機管理が世界のモデルとなることを祈念します。
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